冒頭のシーンはお葬式!BGM悲しすぎ!
どちらかと言うと暗い気分だったので気づくと引き込まれて無心で視聴している自分にはっとしました。
意識的に見進めて行くと、こんな暗いの見ちゃって大丈夫かな?
ちょっと警戒心を持ち始める自分に気付きながらも、確かに惹かれるものがありリタイヤには及びませんでした。
主人公の少年オスカーがアスベルガーの疑いをカミングアウトするシーン以前におそらく何らかの発達障害を抱えているに違いないと察していました。
20代の頃テレビ画面で現実とは思えず目の当たりにした同時多発テロ。
あのビルに子供はいなかったのではと思えますが、オスカーのように親を失い間接的な被害者になった子どもは多くいたに違いないでしょう。
そこにスポットを当てた映画なのだと思いながら、留守電の父親の声に何度も回帰し涙するシーンには単純に同情しました。
コミュニケーションに障害を抱えたオスカーがもしもブラックの鍵に出会わなければ、心の視点は内側に向かい続けていたに違いありません。
鍵のおかげで持ち主を探すチャレンジの旅が始まります。
途中からはキーパーソンの一人後に祖父と分かる謎の老人と一緒に次々ブラックを訪ねて行きます。
当然鍵の持ち主のブラックが見つかったところで何らかの解決があると思いながら見ていたわけですが、ここはオスカーの答えには繋がらなかったことはとても意外でした。ここから一体どう展開するのか?どんな救いがあるというのかと失望してしまいました。
もう明るい展開は完全に望めず、このまま黒に近い灰色の物体を心に抱えて見終えるのかと思うとこの映画を選んだ自分を責める気持ちがポコポコ湧きあがり始めました。
ところが、9月11日ワールドトレードセンターに衝突寸前の飛行機が180度向きを変えるように私の心に変化がありました。
絶望に打ちひしがれ自室で暴れるオスカーに母親がずっとしたためていた思いを伝えるシーンです。涙があふれて止まりませんでした。
ニューヨークが舞台の映画に多い父子愛を描いた作品と決め込んで観ていたただけに、この時の感動の掛け算の答えは数値では表せません。
気持ちが200%に盛り上がったところで、オスカーが父親の死はもちろん、生前の父親の息子への強い思いを超えることができた能動的行動のラストシーンは優しく心地いいものでした。